旧統一教会問題 質問権行使などに関する焦点

 宗教法人世界平和統一家庭連合(旧統一教会)に、宗教法人法に基づく「質問権」を行使するため、専門家会議の検討が始まりました。

 「質問権」を行使した後は、「解散命令」の請求につながる可能性があります。

 ここでは、(1)「手続きで重要なこと」、(2)「解散命令の要件」、(3)「信教の自由との関係」について解説します。

 

【そもそも質問権(宗教法人法)とは】

 宗教法人に法令違反などが疑われる場合、運営実態などについて報告を求めたり、質問したりできるもの。

 行使主体は、文部科学省都道府県です。過去行使された事例はありません。

 

【3つの焦点】

 

(1) 手続きで重要なこと

 質問権行使と解散命令を終えるまでには、膨大な時間がかかる可能性があります。

 また、仮に解散命令が出された場合も、法人格は失われ税制上の優遇措置はなくなりますが、「宗教団体」として活動を続けることは可能です。

 つまり、時間がかかる上に、解散命令ですべて終わるわけではないのです。

 

 そのため、今の手続きと並行して、多額の献金による被害を受けた信者の家族や、いわゆる宗教2世の人たちの社会復帰を支えることなど、救済の仕組み作りが重要となります。

 

(2) 解散命令の要件

 宗教法人法では解散命令事由の1つを、「法令に違反して、著しく公共の福祉を害すると明らかに認められる行為をしたこと」などとしています。

 

 ここでの法令とはなにか。

 政府は、法令違反に刑法だけでなく民法上の不法行為も入るとの認識を示しました。また複数の元裁判官は、NHK記者の取材で「過去の判例に、民法を排除する意図があったとは思えない。」と答えています。

 よって、ここでの法令に民法も含むとして検討が進められると考えられます。

 

 「著しく」公共の福祉に害することが「明らか」であること。

 政府は、これを判断するポイントに「悪質性」「組織性」「継続性」を挙げています。

 これら複数のポイントで、総合的に事実を積み上げ証明することが重要となります。

 

(3) 信教の自由とのバランス

 手続きには、憲法が保障する「信教の自由」とバランスをとる必要があります。

 特に、今回の一連の手続きが、国による不当な宗教への介入とならないようにする必要があります。

 しかし、「信教の自由」を理由に腰が引けた対応をとってしまうと、問題の放置になりかねません。

 

 これらのバランスが重要となります。

 

参考記事:旧統一教会問題 質問権と解散命令請求の焦点 NHK解説委員室